ISSMとは


ISSM(International Symposium on Semiconductor Manufacturing)は半導体基盤技術研究会(UCS)、IEEE EDS、SEMI(半導体製造装置・材料の国際的な工業会)の三者の共催の下、日米交互に毎年開催する成果発表会議として1992年に発足しました。2000年からは半導体基盤技術研究会(UCS)に代わり応用物理学会の後援を受けております。発足理念は半導体の生産技術を体系化、普遍化された技術体系として構築することです。「ノウハウをサイエンスに」を合言葉に、グローバルな半導体生産技術者の議論・交流を通じて、新たな半導体生産技術の芽を育てると共に、生産技術のサイエンス化の新しい流れを作りだしてきました。2011年からはe-Manufacturing & Design Collaboration Symposium とのコラボレーションで「A joint Symposium with ISSM」を隔年に台湾で開催しております。

 半導体製品や技術をベースとするICT(Information Communication Technology)やエネルギー・パワー関連技術は新しいナノ材料/エレクトロニクスと共に、グローバル社会のエネルギー、食糧、水、鉱物資源、環境制約などのメガトレンドを支え、さらなる変革・イノベーションに向けた広く、大きなアクションを採りつつあります。

それらに呼応する半導体産業のこの間の発展も目覚ましいものがあり、大きなうねりの中で、規模拡大のみならず効率的な産業構造や運営形態を求めて変化を遂げてきました。水平分業化型も垂直統合型も生産面では寡占ともいえる大規模生産能力を持つ少数企業への集約があり、また製品分野ごとにそれぞれのサイエンスとノウハウが異なり、生産が特化される形も顕著になってきています。

このことは短期的には、製品ごとの寡占化・分業化の進展ともあいまって、共通課題としての生産技術やそのノウハウを企業の枠を超えて技術者、研究者が議論し交流を持つことに、ある種の難しさを生じさせています。

 しかし、一方では中核となる微細化技術やウエハ大口径化とそのプロセス技術も長足の進歩の末に翳りが見え始め、デバイス構造の三次元化、MEMS、新しいデバイス物理や新規な材料の導入、実装技術の高度化など、新しい方向や技術を生産の中でこなれたものにし、高い生産性を実現していく必要が出てきています。従来の6インチ、8インチなどのレガシーファブでの生産においても、新たな材料や設備の導入や新構造デバイスに向けたライン再構築、運営形態の進化等、可能性は広がっています。

自動運転や医療応用、広い環境下におかれるIoTとそのビッグデータ処理、人工知能やインフラのスマート化などでは、従来視点とは異なる極めて高い品質や信頼性、集積度、セキュリティー、センシング、解析・評価性能などが動作性能・コストと共に要求されます。前述の新しい方向と合わせて、製品設計技術との深い連携や、それら両面の技術難度の高さや深さ故に先を見た研究を喚起し取り込んでいくこと、すなわち関連産業を含めた個別企業間のみならず、学、公立研究機関との連携協力も様々なレベルで行っていく必要があり、共通の議論、交流の場の重要性が高まります。

 さらには、関連産業において半導体デバイス生産には直接携わらないものの、半導体生産技術を中心に、そのノウハウとサイエンスを利用するニーズは高く、半導体関連産業全体の発展も見据えてそれを包括的に議論する場が求められております。

 ISSMは「ノウハウをサイエンスに」の合言葉と共に、新たな役割を切り開くこと、すなわち生産活動目線をベースにしながら、幅広い産業・技術動向の俯瞰視点、少し高みからの経営視点を合わせ持って、自ら将来を先取りした生産技術の方向や活動・運営を担う研究者・技術者が育ち、議論する場を提供していきたいと考えます。

 中核技術者に加えて、次世代の若手半導体技術者の参加を強く期待いたしますとともに、半導体産業の永続的発展に貢献するために、ぜひ関係各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。